2020年の活動記録
下から上へと時間順に、順次、活動記録を追加していきます。
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ご不便をおかけしますが、ご勘弁を。
3・18判決日
3月18日(水)は沖縄高江に愛知県警機動隊派遣が違法であると、県民が訴えた名古屋地裁裁判の判決日でした。春の陽気で、14時の傍聴抽選に間に合うように、原告・サポーターが少しずつ裁判所の西側に集まりだした。裁判所の前で、原告団の旗が立っていたので、近くで待機していたタクシーの運転手がそれを写真で取って、沖縄の知人に送るのだと。
14時10分から抽選が始まる。コロナの影響で傍聴席は大幅に規制され、それに加え新聞記者も10数名入ったので、原告・サポーターが傍聴席に入れたのは、26名という数でした。傍聴券に並んだ方は58名でした。半分以上の方が、抽選に外れたことになります。
15時からの判決で「原告の請求を棄却する、裁判における費用は原告が負担する。以上」と、わずか30秒の判決文の言い渡し。
裁判所の外で待つ原告団・サポーターの処に掛けてきて、弁護士が広げた垂れ幕は、無情にも「請求棄却」。待っていた、原告・サポーターから、「えー、そんな、どうして」という声が一斉に上がる。少なくとも、東京判決を少しでも前に進めるような判決が出るのではと期待をしていただけに、落胆も大きいものが有りました。
16時から、近くの桜華会館で記者会見・報告集会が持たれましたが、判決が出てまだ15時10分過ぎですが、多くの人は裁判所から、そのまま桜華会館へ移動を始めました。
弁護団は別室で、判決内容の精査。弁護団・原告団声明をどのように出すかの協議と、判決内容を読むにつれ、これは全否定で、不当判決だよと弁護団から意見が出ました。
記者会見場は、事務局の人で、てきぱきと準備が進められ、前二列に弁護団、原告代表・事務局長が座り、その前に記者席をもうけて、その後ろに原告・サポーターが記者を取り囲むように座るという配置ができ、15時半頃から、原告の人達も座り始めました。
記者会見まで少し時間が有ったので、田巻弁護士が会場に来て、時間前に座って居る、原告サポーターに、判決について、ミニ報告集会をしました。田巻弁護士は、この判決はもれなく原告の主張を否定した判決内容ですと。公安委員会に派遣を事前に諮ることをしていない問題についても、事後に報告をして居るので問題はないという判断をしていますと。
16時過ぎに、弁護団が判決内容を精査して、会場に入ってきました。16時10分、記者会見が始まりました。会場は、コロナウイルスの関係で、換気に気をつけて、窓を開けてです。会場には、適当に間隔を開けて、原告・サポ―ターも座り、ほぼ後ろまで埋まりました。
冒頭、大脇弁護団長から挨拶がありました。大脇さんは、「この判決は背筋も凍るような判決で、私達が主張した平和的生存権も抵抗権の行為も切り捨て、警察権力の行為を是認した酷い内容です。今の政治状況のもと、司法の判断の限界を示した。私達は、敗訴にうろたえることなく、人権の確立は、不断の努力有るのみです。これにめげず、再び闘いを挑みましょう」と。
その後、弁護団事務局長の長谷川弁護士は、判決内容を20分近く、丁寧に説明されました。争点1の、機動隊派遣決定が違法なら、支出が違法になるという点では、原告の主張を認めています。争点2の派遣決定の実体違法の有無について。
一つ目の、県警の派遣決定は自治体警察の原則に違反して居るという、私達の主張に対して、警察庁が愛知県警に警察官の人数を調整するように割り当てたのは、沖縄県警に対する援助を円滑に実施するために有用な措置であり、原告の主張は採用できないと。
二つ目の援助の必要性について。治安維持のためにいかなる警察活動が必要かは、現地警察、公安委員会が最も良く判断が出来るもので、それは尊重されるべきであり、その県からの援助要求があるなら、従うべきであると。その援助の必要性については、ヘリパッド移設工事に対して想定される大規模な抗議活動の予防・取り締まりのために、他の県からの警察官の派遣援助は合理的であり、援助の必要性はないということは、客観的に明らかとは言えないと。
三つ目に現地での警察活動の違法性については、検問、写真撮影及び参加者に対する実力規制は必要であったと。大阪府警の差別的発言も警察活動に付随した1回的な行為にとどまっており、援助の必要性に疑義は生じないと。
これらを聞いていると、沖縄の仲間と一緒になって、やむにやまれない中で座り込んでいる人を排除するのは、当然の行為と言っているようで、裁判所は何処を見ているのかと思えてきます。
更にヘリパッド移設工事に対する抗議活動が表現の自由の行使として正当な行為であるという私達の主張に対して、表現の自由は、民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならないとは言え、表現の自由は、絶対無条件に保障されるものではなく、公共の福祉の為、必要かつ合理的な制限を是認するものであると。又、こちらが主張した自然破壊や生活権の破壊、オスプレイの騒音被害などについての自救行為の正当性については、法廷に訴えるべきで、法律の定める手続きによらずに、直ちにその救済を図らなければないないほどの緊急性があるとはいい難いと切り捨てました。
平和的生存権については、憲法上の理念ないし目的としての抽象的概念であって、具体的内容は不明瞭であると。
まとめとして、ヘリパット移設工事に対する抗議活動が表現の自由の行使、自救行為又は抵抗権の行使として正当化されるものであることが客観的に明らかであったという事は出来ないと。
派遣決定の手続的違法性については、他の都道府県公安委員会では、会議や持ち回りで決定しているのに、愛知県公安委員会はその様な手続きはしていないという点で、それは内部処理の問題で有り、また、事後の報告でも、報告に異論が無ければ積極的に意見交換をする必要もなく、公安委員会で派遣決定を承認したものと評価する事が合理的であると。
この様に、判決内容を丁寧に報告され、これは本当に酷い判決と言わざるを得ないと結びました。
その後、中谷弁護士が、この判決はこちらが主張した、沖縄の置かれた歴史と現実を置き去りにした酷い判決だとコメントをしました。
そして、原告団長の具志堅さんは、こんな酷い判決が出るとは、悔しくて、言葉が出ないと。
弁護団・原告からの報告はここまでで、その後、記者からの質問をもらいました。参加された記者は、8社でしたが、質問は二社から出され、この判決について原告は、控訴されますかという内容でした。弁護団は、原告と相談をしますが、控訴の方向で相談をしますと。質問は、ニ社だけで、もう少し判決内容について、質問が出ても良かったのにと感じたところです。
最後に、内河弁護団副団長から、名古屋地裁民事9部には、少しだけ期待していたのに、裏切られた。判決内容で、平和的生存権は具体的権利ではないとか、抵抗権も認められないなど、酷い、薄っぺらい判決で、これにめげずに頑張りましょうと。
記者会見はここまでで、50分ほどで終わりました。
その後、すぐに報告集会に切り替え、若い二人の弁護士から、判決についてコメントをもらいました。その後、原告団事務局長の山本さんから、この判決は、本当に悔しいと。そして、21日の原告集会はコロナウイルスの関係で中止にしますが、早急に控訴の準備を始めますので、委任状とかを各原告に郵送しますので、すぐに返送して欲しい旨を話しました。
大脇団長が述べた、憲法の光を沖縄にという思いが司法に届かず、悔しさが残る一日になりましたが、平和的生存権や抵抗権など、これまでの私達が積み上げてきた中味を踏みにじる判決に、諦めてはいかんと、会場を後にしました。(保田泉)
マスク着用の受付
持ち寄った消毒薬が机の上に
裁判所西側で傍聴整理券を求め並ぶ
北側出入口前で抽選
裁判所南側で判決の「旗出し」を待つ
抽選に外れた支援者たち
裁判所外に駆け出し旗を出す
吉田弁護士と森弁護士
弁護団の判決検討を待つ間
参加者に解説する田巻弁護士
新型コロナ感染重大事態の愛知県
消毒・換気・座席の配置など最大限の準備をした
厳しい表情の弁護団
内河・大脇・長谷川弁護士
眉を寄せる篠原弁護士
前を見すえる原告代表・具志堅さん
「沖縄を置き去りにした判決」
と怒る中谷弁護士
「めげずに頑張りましょう」
内河弁護団副団長
と き:3月18日(水)
14:00 受付開始
14:30 傍聴抽選
15:00 開廷
16:00 記者会見/報告集会
(桜華会館 本館4階 松の間)
※傍聴は抽選となる予定です 競争率高そうですよ
ところ:名古屋地方裁判所 大法廷 ※集合は西側
地下鉄「丸の内」駅1番出口より徒歩5分
地下鉄「市役所」駅5番出口より徒歩7分
チラシ ☞ PDF(940KB)
裏面に大脇弁護団長の「訴訟」で何が問われ、何が証明されたのか(会報№11に掲載)などもあり。
(2020.01.20)
延期となりました
↓
と き:2月29日(土)
13:30~16:30(開場13:00)
ところ:イーブルなごや 視聴覚室
(地下鉄「東別院」1番出口東へ徒歩3分)
資料代:500円
(どなたでもご参加いただけます)
内 容:東京訴訟からの報告
各地からのメッセージ交換
質疑・交流
東京訴訟 原告代理人 高木一彦弁護士 東京訴訟の判決解説
東京訴訟 原告 田中祥士(さちお)さん 東京訴訟の運動・取組みとこれから
当会より、弁護団長・大脇雅子弁護士のあいさつ、弁護団事務局長・長谷川一裕弁護士の論点解説があります。
全国、6都府県*から機動隊が派遣され、ヘリパッドの建設が強行されましたが、機動隊派遣は違法の裁判は、東京・福岡でも取り組まれています。
東京では、12月16日、「警視庁機動隊の沖縄への派遣は違法!住民訴訟」の判決が出ました。残念ながら、敗訴でしたが原告団・弁護団は控訴を決定しました。東京の裁判の経過と現状、課題などお二人からうかがいます。
*東京都、千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県
(2020.01.20)
DVD「ヌチドゥタカラ - 戦跡踏査から見えてくる沖縄戦の実相」完成の日を迎えて
2019年10月24日、その日の出会いは“奇跡”であった
《名護小学校の近く、街路樹のハイビスカスに水やりをしている老人に出会った》
私 :この近くに「少年護郷隊之碑」があると聞いたのですが、行き方を教えて下さいませんか。
老人:アンタは誰さ、なんで「護郷隊之碑」を探しているのさ~?
私 :愛知県から来た者です。70余年前の沖縄戦の痕跡を探してカメラに収め、本土の人々に伝えようと思っています。今日は午前中に多野岳に登り、第一護郷隊の本部があったフンガー滝に行ってきました。
老人:そうか~、ワシは74年前、そのフンガー滝にいたさ~。
私 :護郷隊の少年ゲリラ兵だった方ですか。話を聞かせていただけませんか。
《老人は91歳、17歳で護郷隊に招集されたという。老人は語り始めた》
老人:村上隊長の命令で「斬り込み」もやったさ、まともな武器もなく米兵とやり合ったさ、友達が何人も死んださ~。女子看護隊から分けてもらった護郷隊の食糧は一夜でなくなったさ、誰が持っていったと思う?“やんばる”は疎開地だったから南から来た避難民が持って行ったさ、それで南の人たちは命拾いしたのさ~。マスコミは知っていても言わないけど、これは事実なのさ~。ウチナンチュー同士が苦しめあった、そんな戦争だったのさ~。ワシらは米兵が捨てていった缶詰の空き缶で小指ほどもない米を炊いてさ、朝、米汁を飲み、昼も米汁を飲み、夜に残った米粒を食べたさ~。
米軍の収容所に入った護郷隊の生き残りは皆、何と言っていたか、アンタ、分かるか?
《あまりにも重い問いかけに、答える言葉はなかった。雨が降りだしても老人は語り続けた》
老人:「負けてよかった」という言葉さ~。こんな話は家族にもしたことないさ、アンタが初めてさ~。
ゲリラ兵に仕立てられた17歳の体験、護郷隊が解散してから74年、心の傷跡は癒されることなく今日まで生きてこられたのだろうか。目尻に光るものは秋雨の滴だけだろうか。この老人を前にして私のような者が“沖縄戦の実相”と題して語ろうとするのは不遜ではないかと思った。だが、高江、辺野古で座りつづける80歳を過ぎたオジィやオバァの深いシワの奥にあるものは何か、故翁長知事が語られた“沖縄のアイデンティティ”とは何か、それを知りたいし知らなければならない、と思い直す。こんな複雑な思いにいつもとらわれながら、戦跡を踏査し、その記録としてこのDVDを制作した。写真や絵画などの使用を許諾していただいた沖縄県公文書館、NHK沖縄放送局、佐喜眞美術館のご協力、そして戦跡に案内していただくなど大勢の方々のお世話がなければこのDVDの完成はなかった。心から感謝を申し上げたい。
(事務局 秋山富美夫)
写真は沖縄県名護市の「フンガー滝(多野岳8合目)」
「DVD」は高校の先生をされていた秋山さんが、おひとりで戦跡を踏査し、資料を集め、使用許可を得、パワーポイント(PDFも)にまとめ、DVDに焼き付け、制作された「学習資料」です。このたび「第一部」が完成し、普及がはじめられましたが、「第二部」「第三部」・・とまだまだ制作は続きます。大変な労作です。ぜひ、普及にご協力ください。
(2020.01.20)
公正な判決をもとめる「要請ハガキ」
大口注文もあり、追加印刷になりました。
新版は宛名面に裁判官お一人お一人のお名前を入れました。メッセージ欄にぜひ、ご自身の思いをお書きください。
「三権分立の国家機構の中で、今こそ司法の勇気が問われている。原告らの声、沖縄の人たちの声に耳を傾け、本件判決において、裁判所の勇気ある英断を心から期待し、切望する。」
(大脇雅子弁護団長の言葉:会報№12より)